原発がどんなものか知ってほしい 平井憲夫 その2

明日に書くといいながら、何日も伸びました。申し訳ございません。


原発の一番の問題は、核廃棄物の問題だと思ってました。何万年も放射能が残りますので、それを永遠に誰が管理するのでしょうか?核廃棄物は熱を発し、熱が上昇して臨界に達すると、自然に核爆発します。だから流水で冷やし続けないといけない。そして、原発が稼働すればするほど、廃棄物が増えていきます。


それに匹敵する問題がいくつかあることが、http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/index.htmlを読んで、やっと分かりました。知るのが遅くても、知らないよりましなので、あんまりへこたれずに智識を広めるようにしたいと思います。


原発の問題は何かというと、2つ目は差別の問題でした。

http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/page19.html
ある女性から手紙が来ました。二三歳です。便箋に涙の跡がにじんでいました。「東京で就職して恋愛し、結婚が決まって、結納も交わしました。ところが突然相手から婚約を解消されてしまったのです。相手の人は、君には何にも悪い所はない、自分も一緒になりたいと思っている。でも、親たちから、あなたが福井県敦賀で十数年間育っている。原発の周辺では白血病の子どもが生まれる確率が高いという。白血病の孫の顔はふびんで見たくない。だから結婚するのはやめてくれ、といわれたからと。私が何か悪いことしましたか」と書いてありました。この娘さんに何の罪がありますか。こういう話が方々で起きています。

たしかに白血病の確率が上がるでしょうが、リスクは他にもたくさんある。まともな結婚相手が見つからないリスクとか、結婚してから相手が気に入らなくなるリスクとか。リスクの全く無い暮らしはありえないわけで、生きるには苦難を乗り越えていかないといけない。総合的に見ないといけないのに、1つの問題点だけに囚われるというのは、ノイローゼに近いのではないか。

それは置いておいても、原発の悪影響はひどいです。


3つ目は労働環境の問題でした。
放射線は、1日に50ミリシーベルトまでしか、受けてはならない。(海外基準では20ミリシーベルト原発の一番放射線が強い所では、10秒で50ミリシーベルトを超えてしまう。それ以外の所でも10分くらいしかもたない。そして、10年20年と働くと、癌になってしまう。10年経ったら、脱落していく。やがて熟練労働者はいなくなり、素人で運用することになる。素人で運用すると、理解せずに行動するから、手抜き工事など、危険なことをしてしまう。
また原発は、パイプ1本が折れただけで重大事故を引き起こす。素人ではそんな時に事故を防ぐことはできない。
原発の従事者は、どんどん減っていって、枯渇しているようです。いつか必ず、重大事故を引き起こすでしょう。

日本の50基の原発でこんな調子なのに、中国では3000基も原発を作る計画らしいです。
60倍の危険です。維持できるはずがないです。


原発の労働者は、原発奴隷とか原発ジプシーと呼ばれます。

原発ジプシー (講談社文庫)

原発ジプシー (講談社文庫)

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完全な秘密
 原発奴隷は、日本で最も良く守られている秘密の一つである。いくつかの国内最大企業と、おそるべきマフィア、やくざが拘わる慣行について知る人はほとんどいない。やくざは、電力会社のために労働者を探し、選抜し、契約することを請負っている。「やくざが原発親方となるケースが相当数あります。日当は約3万円が相場なのに、彼等がそのうちの2万円をピンハネしている。労働者は危険作業とピンハネの二重の差別に泣いている」と写真家樋口健二氏は説明する。彼は、30年間、日本の下請け労働者を調査し、写真で記録している。

 樋口氏と藤田教授は、下請け労働者が常に出入りする場所を何度も訪れて回り、彼らに危険を警告し、彼らの問題を裁判所に持ち込むよう促している。樋口氏はカメラによって―彼は当レポートの写真の撮影者である―、藤田氏は、彼の放射能研究によって、日本政府、エネルギーの多国籍企業、そして、人材募集網に挑んでいる。彼らの意図は、70年代に静かに始まり、原発が、その操業のために、生活困窮者との契約に完全に依存するに至るまで拡大した悪習にブレーキをかけることである。「日本は近代化の進んだ、日の昇る場所です。しかし、この人々にとっては地獄であるということも、世界は知るべきなのです。」と樋口氏は語る。
 日本は、第二次世界大戦後の廃墟の中から、世界で最も発達した先進技術社会へと移るにあたって、20世紀で最も目覚しい変革をとげた。その変化は、かなりの電力需要をもたらし、日本の国を、世界有数の原子力エネルギー依存国に変えた。
 常に7万人以上が、全国9電力の発電所と52の原子炉で働いている。発電所は、技術職には自社の従業員を雇用しているが、従業員の90%以上が、社会で最も恵まれない層に属する、一時雇用の、知識を持たない労働者である。下請け労働者は、最も危険な仕事のために別に分けられる。原子炉の清掃から、漏出が起きた時の汚染の除去、つまり、技術者が決して近づかない、そこでの修理の仕事まで。
 嶋橋伸之さんは、1994年に亡くなるまでの8年近くの間、そのような仕事に使われていた。その若者は横須賀の生まれで、高校を卒業して静岡浜岡原発での仕事をもちかけられた。「何年もの間、私には何も見えておらず、自分の息子がどこで働いているのか知りませんでした。今、あの子の死は殺人であると分かっています」。彼の母、美智子さんはそう嘆く。
 嶋橋夫妻は、伸之さんを消耗させ、2年の間病床で衰弱させ、耐え難い痛みの中で命を終えさせた、その血液と骨の癌の責任を、発電所に負わせるための労災認定の闘いに勝った、最初の家族である。彼は29歳で亡くなった。
 原子力産業における初期の悪習の発覚後も、貧困者の募集が止むことはなかった。誰の代行か分からない男達が、頻繁に、東京、横浜などの都市を巡って、働き口を提供して回る。そこに潜む危険を隠し、ホームレスたちを騙している。発電所は、少なくとも、毎年5000人の一時雇用労働者を必要としており、藤田教授は、少なくともその半分は下請け労働者であると考える。
 最近まで、日本の街では生活困窮者は珍しかった。今日、彼らを見かけないことはほとんどない。原発は余剰労働力を当てにしている。日本は、12年間経済不況の中にあり、何千人もの給与所得者を路上に送り出し、一人あたり所得において、世界3大富裕国の一つに位置付けたその経済的奇跡のモデルを疑わしいものにしている。多くの失業者が、家族を養えない屈辱に耐え兼ねて、毎年自ら命を絶つ3万人の一員となる。そうでない者はホームレスとなり、公園をさまよい、自分を捨てた社会の輪との接触を失う。

原発は労働者の生き血をすすることで成り立っていました。こんなことをしていると社会が崩壊します。原発が社会の癌だとわかります。


そもそも、原発の利点は原爆の材料を作るくらいしかないです。電気を取り出すより、投入するエネルギーの方が多いですから。地球温暖化対策とか言いながら、原発では大量の熱を放出しています。二酸化炭素より大きな問題です。核廃棄物にいたっては、何万年も熱を出し続けます。


そして、日本には途中でやめる勇気がない

 もんじゅのようにプルトニウムを使う原発高速増殖炉も、アメリカはもちろんイギリスもドイツも止めました。ドイツは出来上がったのを止めて、リゾートパークにしてしまいました。世界の国がプルトニウムで発電するのは不可能だと分かって止めたんです。日本政府も今度のもんじゅの事故で「失敗した」と思っているでしょう。でも、まだ止めない。これからもやると言っています。

 どうして日本が止めないかというと、日本にはいったん決めたことを途中で止める勇気がないからで、この国が途中で止める勇気がないというのは非常に怖いです。みなさんもそんな例は山ほどご存じでしょう。

 とにかく日本の原子力政策はいい加減なのです。日本は原発を始める時から、後のことは何にも考えていなかった。その内に何とかなるだろうと。そんないい加減なことでやってきたんです。そうやって何十年もたった。でも、廃棄物一つのことさえ、どうにもできないんです。

(略)

 原子力局長をやっていた島村武久さんという人が退官して、『原子力談義』という本で、「日本政府がやっているのは、ただのつじつま合わせに過ぎない、電気が足りないのでも何でもない。あまりに無計画にウランとかプルトニウムを持ちすぎてしまったことが原因です。はっきりノーといわないから持たされてしまったのです。そして日本はそれらで核兵器を作るんじゃないかと世界の国々から見られる、その疑惑を否定するために核の平和利用、つまり、原発をもっともっと造ろうということになるのです」 と書いていますが、これもこの国の姿なんです。

話は原発にとどまりません。日本には「途中で止める勇気」が無い。これは深刻な問題ですね。日本人全体の宿題です。


松浦彰夫 拝


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