美心主義は成立するか?(未来編)

連山が改装しますので、昔の記事を流水成道に引っ越しします。2008年7月11日 07:41の記事です。

資本主義と社会主義の時代

20世紀の世界は、資本主義と社会主義に分かれて競い合っていました。
しかし、今ではどちらも、かつての勢いは無く、限界に達しているように見えます。
その理由は、幸せになる人より、不幸になる人が多かったからだと、筆者は思います。

資本主義では、少数の金持ちがいる反面、多くの人がワーキングプアになりました。
社会主義では、頂点の権力者に逆らった多くの人が、殺されたり投獄されたりして、イエスマンのみが生き残りました。
どちらも人を抑圧する制度でした。
抑圧するものに反発するのは自然な心情です。

主義とは何か?

そもそも、『○○主義』(○○ism)なんでしょうか?
○○が万能(主)で、○○が正義(義)であり、○○を求める人の集まりであり、○○を基盤(コミュニケーション・メディア)とした制度だと、筆者は思います。
資本とは、貨幣=商品の生産手段・交換手段・貯蔵手段としての金銭です。
資本主義とは、金銭が万能(主)で、金銭が正義(義)であり、金銭を求める人の集まりであり、金銭を基盤とした制度です。
社会とは、人間の関係や人間の集まりであり、人間の集まりを動かすための警察力・軍事力である、権力のことでした。
社会主義とは、権力が万能(主)で、権力が正義(義)であり、権力を求める人の集まりであり、権力を基盤とした制度です。

金銭も権力も、少数の人間が集めようとします。
残りの人間は、それらが奪われてしまうので、奪われた分だけ不幸になります。
資本主義も社会主義も、人を不幸にするメカニズムが内臓されていました。
少数の持てる者に徳があれば、それを分配して循環させることも可能ですが、そういうことは稀でした。
そして、資本主義も社会主義も、自分で選んだのではなく、我々はいつのまにか囲い込まれていました。

人を幸せにするもの

不幸の拡大を食い止めるため、人を幸せにする制度に転換できないでしょうか?
人を幸せにするものを探してみたところ、美がありました。
美は、人を魅了し、人を感動させ、人に好まれ、人を幸せにする性質があります。
皆さんは、何かに感動して、見とれてしまったことがありますか?
おそらく、それが美です。
皆さんには好きな人がいますか?
その人のことを考えるとき、沸き起こる感情、それもおそらく美です。

美心主義を想定する

そんな美を基盤にした制度ができるか、考えてみます。
前回のタイトルでは、それを仮に、美を根本とする主義、美本主義と呼んでいましたが、美心主義と呼ぶことにします。
美の根本にあるのは、美を尊ぶ心だと考えます。
美しい心を持つ人が尊ばれるのが、美心主義です。

『○○主義』なので、美心主義は、美心が万能(主)で、美心が正義(義)であり、美心を求める人の集まりであり、美心を基盤(コミュニケーション・メディア)とした制度です。
美は、それによって誰かが幸せになっても、別の人が不幸になることはありません。
美しい音楽を聴いて幸せになっても、別の人が不幸になることはありません。
だから、どれだけ美によって幸せになっても、罪悪感を感じる必要はありません。
むしろ、評判が広まることにより、より多くの人を幸せにするという、正のフィードバックがあります。
この性質は、資本主義や社会主義と根本から異なる点です。

美心主義では、人が何か行動を起こすとき、どんな心に基づいているのかを判定されます。
金儲けや、権力集めよりも、心が美しいか、人の幸せを願っての行動であるかどうか、参加者から判定され、評価が共有されます。
嘘をついて騙す人や、嘘の情報を流して人を不当におとしめる人も現れますので、それらをチェックすることも必要です。
人の幸せを願っての行動でも、合成の誤謬で結果的に人を不幸にすることがありますので、行動の前に結果をシミュレーションしたり、行動の後に結果を検証してフィードバックすることも必要でしょう。

美心主義の未来

現実の世界は、美心主義の方向に進んでいると、筆者は感じます。
未来は明るいです。
あとは、どれだけ抵抗なく美心主義に移行できるか、反対者の手で壊されてしまわないかが問題です。

美しい心で美しい行動をした人を褒めること、これは美心主義の支えになりますし、誰でもできます。
日本のアニメが世界で好まれているのも、どんな心で、どんな行動をするのが美しいのか、それに気づくことができるからだと、筆者は考えてます。
現実はフィクションみたいに上手くいかないことも多いですが、せめて美しい心で立ち向かおうじゃないですか。
美しい心で行動すれば、幸せになります。
そして、皆さんのまわりで美しい行動をした人、あるいは歴史上の人で美しい行動をした人を知っていたら、ブログか何かで褒めてあげてください。
それを見た人がそこから学び、美しい行動をし、世界が美しくなります。


美心主義について、ひとまず完結です。
読んでくださった連山読者の皆様方、ありがとうございました。


松浦彰夫 拝


コメント

美本主義という言葉を聞いて連想した事なのですが、少し前、「シゴフミ」というちょっと悲惨なアニメで、美しさを至上のものとする主人公の父が、「私みたいに美しくない者はどうしたら良いのでしょう」と質問された時に「死ねばいいんじゃない?」と言い放った事がありました。

言われてみれば確かに、美しくない存在は美本主義社会の中でどう扱ったらよいのでしょうかと気になります。また人は、どんな美人であっても加齢とともに必ずその美は失われてしまいます。いざやるとなると色々難しいかもしれません。水をさすつもりは決して無いし共感もできるのですが、その点が少し気になりました。

Posted by EasyMan・HogeHoge(旧Meaning) at 2008年7月 8日 10:12


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