インフルエンザ休校と毒力の抑制、原発震災へ注意

神戸でインフルエンザが発生して、地域全部の学校が休校になってしまいました。今回は22日までですが、また同じようなことがあった場合、あちこちで学校閉鎖が起こり、学力低下が懸念されます。

15日に国内の人の間で感染者が出たのは、予想通りでした。

潜伏期間中に入国する人を防げないということも分かっていました。悲しいことに、水際作戦は政策担当者の自己満足にすぎなかったことになります。科学的な裏付けが無かったので、資金と労力の浪費になりました。

演算によると、6月か7月に日本全国で流行します。そうすると、日本中で学校閉鎖になり、学力低下が長期間続くことになります。

かかる人が増えると、ウイルスの変異の確率が上がります。現在は、死亡率は高くない(弱毒性)ですが、変異して死亡率が高い(強毒性)ものになると、どうでしょう?外出は基本的に禁止、どうしても必要なときのみ外出。戒厳令が引かれて、外出したら防護服を着た警官に職務質問される、なんてことが起こりかねません。

死者を抑えるにはウイルスの毒性を抑えるのが重要で、「迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか」からその部分を抜粋します。感染経路を遮断することで、ウイルスが行き延びるために感染者が元気に動き回って貰わなくてはならなくなる。結果、弱毒性になり、感染しても自然のワクチンを持っているのと同じ状態になる。
分かりやすく言えば、それぞれの衛生管理が重要ということですね。なんか当たり前の結論になってしまいました。病死した人の死体を火葬もせずに放置されるのが最悪の事態です。中世のペストの流行では、土葬した死体をネズミが食べ、ネズミの血を蚊が吸い、蚊から人間に感染しました。今の日本でそういうことはあまりなさそうですが、老人の孤独死などは危ないかもしれません。生存確認してくれる人を持ちましょう。インフルエンザに限ったことではないですが、発展途上国で火葬の習慣がない所は危ないですね。

迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

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第5章 僕たちはウイルスにあやつられている?

病原体を味方にするには
ポール・イーワルドは進化生物学の先駆者の1人で、とくに感染症の進化と宿主にあたえる害毒の推移について研究してきた。ある有機体が宿主にあたえる影響の有害度を「毒力」という。人間に感染する病原体の毒力には大きな幅がある。ギョウチュウはほとんど無害だし、ふつうの風邪は不愉快だが危険ということはない。エボラウイルスはあっというまに死をもたらすほど危険だ。人間にたいして強力な毒力を発揮するよう進化した病原体がいる一方で、人間にさほど害をあたえない弱い毒力で満足している病原体がいるのはなぜだろう?イーワルドは、ある病原体の毒力を決めるおもな要因は宿主から宿主へと乗り移る移動手段にあると信じている。
感染症の病原体はすべて、生存と種の保存という至上命題のために新しい宿主に乗り移らなければならないのだから、その手段のちがいに注目するのは意味がある。宿主から別の宿主に移動する方法は大きく分けて3種類ある。

  • 宿主どうしが直接接触するか、近づいたときに空気を介して移る。ふつうの風邪や性行為感染症など。
  • 中間媒体の生物(蚊やハエ、ノミなど)に乗せて運んでもらう。マラリアチフス、黄熱病など。
  • 汚染された食品や飲料水を介して移動する。コレラ、腸チフス、A型肝炎など。

さて、この3種類の方法を毒力とのからみで眺めてみよう。イーワルドによれば、1番目の分類にあてはまる病気は毒力を強める方向に淘汰圧はかからない。これらの病原体は、感染者に動き回ってもらって、新しい宿主と接触してもらわなければならない。つまり宿主には、少なくとも動き回ることができるくらい健康でいてもらう必要がある。ところであなたは風邪をひいたとき、風邪くらいで会社を休むわけにはいかないから出勤するのではないだろうか。風邪のウイルスからすれば、あなたには風邪をひいているときでも地下鉄に乗って仕事場に行ってもらって、一日中くしゃみと咳をしていてほしいのだ。風邪のウイルスは今後も、人間を殺したり起き上がれないほど弱らせたりする毒力をもつことはないだろうとのことだ。
一方、宿主に動き回ってもらう必要の無い病原体の場合は毒力が激化しやすい。先ほども述べたように、マラリアは人間の体力を奪うように進化してきた。マラリアからすれば、感染者を新しい宿主に出会わせる必要はなく、むしろ感染者を蚊に刺されやすい状態にしておきたい。マラリアは宿主を死の淵においやるほうが自分たちの進化上、有利なのだ。宿主の血液中を存分にマラリアで満たしておけば、マラリアが混じった血を蚊に吸われるチャンスが高まる。あとは、その蚊が別の宿主を刺せばいいだけだ。
コレラも同様で、宿主の人間が動き回って宿主を探すことを必要とはしていない。コレラ菌にとっては毒力に手加減する理由はないのだ。人が排泄物で汚れた衣服やシーツを飲料水の水源となる川や池で洗うような状況や、下水と飲料水が混ざるような状況であれば、簡単に新しい宿主に乗り移ることができる。というより、コレラは毒力を強めたほうが有利だ。人間の腸内でコレラ菌が容赦なく増殖すれば下痢が激しくなり、大量の菌が排泄され、次の宿主に到達する可能性が高まる。
つまり、感染性病原体が宿主以外の同盟軍(蚊など)や搬送手段(上下水道の不備など)にたよる場合には、宿主と平和的に共存することは重要でなくなる。そうすると、病原体は宿主から「搾り取れるだけ搾り取って」自分の子孫を最大限に増やす方向に進化しやすい。宿主にとっては災難なことになる。
しかし、かならずしも悲観する必要はない。イーワルドは、病原体の進化のしくみを理解すれば毒力を弱めることは可能だと考えている。この考え方の基本はこうだ。「人間を動き回らせる以外には病原体を広める手段がない」という状況にしてしまえば、病原体は人間をとことん弱らせる方向には、進化しないのではないか。
この考え方をコレラにあてはめてみよう。イーワルドによれば、ある集団にコレラが大流行するかどうかは、その集団の飲料水の水源がコレラ菌に汚染されるかどうかにかかっている。下水が生活用水や飲料水に混ざりやすい環境だと、コレラ菌は毒力を増す方向に進化するだろう。宿主である人間をただの増殖場所として利用するだけ利用して、あとは水源に乗って子孫を広めていけばいいのだから。しかし、水源がきちんと管理されていれば、コレラ菌の毒力は弱まる方に向かうだろう。水源を利用できなくなったコレラ菌にとっては、宿主をなるべく長く動ける状態にしておいたほうが子孫を広めやすくなるのだから。
1991年にペルーではじまった一連のコレラ大流行が南アメリカ大陸にどう広がったかは、イーワルドの説を証明するいい例となる。南米では国によって上水道や下水道の整備状況にかなりの開きがある。エクアドルのように整備不良の国に入ったコレラ菌は広がるにつれて毒力を増した。だが、チリのように整備が進んでいる国に移ったコレラ菌は毒力を弱め、ほとんど死者を出さなかった。
このことから、僕たちはひじょう重要なことを学べる。すなわち、抗生物質による「軍拡競争」で細菌をより強く、より危険にしてしまうのではなく、細菌を僕たちに合わせるよう変える方法で探ったほうがいいということだ。この方法をコレラのような飲料水媒介型の病原体にあてはめて考えてみよう。飲料水の水源をしっかり管理すれば病原体に汚染された水を飲む人が少なくなり感染者は減る、というところまでは簡単に想像できるだろう。ここからさらに進めて、あらゆる水源を徹底して守れば、つまり病原体の移動手段を封じてしまえば、病原体の毒力は弱まるように進化させられるのだ。イーワルドはこう述べている。

病原体の進化をコントロールすることで、その毒力を弱め、人類と共存しやすい病原体に変えていくことが可能になる。病原体が弱毒性のものになれば、私たちの大半はそれに感染したことさえ気付かなくなるかもしれない。つまりは、ほとんどの人が体内に無料の生きたワクチンを入れているような状態になるのだ。

マラリア患者を全員、蚊帳つきのベッドに寝かせるか室内にとどめておくようにすれば、マラリアの毒力を弱める方向に誘導できるかもしれない。衰弱して動けなくなっている患者に蚊が寄りつけなくなれば、マラリア原虫は子孫を広めるためには感染者に動き回ってもらう必要が出てくる。そうなると、宿主に動き回れるだけの体力を残しておくような淘汰圧がかかるのではないだろうか。
もちろんイーワルド自身、この説がどんな場合にもあてはまるとは考えていない。たとえば、宿主の対外で長時間生き延びることができる寄生生物にこの作戦は通じない。何年もじっと待って、たまたま新しい宿主が近くにやってきたときに飛びつくような病原体には、移動問題の圧力はかからないからだ。炭疽菌がいい例だ。この致死的な菌は宿主の外で、ときには10年以上も生きていられるという。宿主から宿主への移動に急を要しない炭疽菌にとっては、移動経路を封じられてもさほど問題にはならないので、そこに進化の圧力はかからないのだ。

インフルエンザは元々空気感染や接触感染ですね。インフルエンザで亡くなった人はくしゃみをしないので、死体から感染するのかどうか、良く分からないです。それよりも原発震災に気をつけるべきかもしれません。原発推進派はこの隙にも活動しています。
http://www.asahi.com/national/update/0516/NGY200905160004.html?ref=rss


松浦彰夫 拝


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